HSL・色相彩度の使い方|特定の色だけを補正するレタッチ

HSLの使い方を紹介する記事のアイキャッチ。青空と緑と赤い花の写真の色をノートパソコンで整えている机の上

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空の青だけをもう少し深くしたい、葉っぱの緑だけを落ち着かせたい。でも彩度を動かすと、写真全体の色が変わってしまう。『特定の色だけ変える方法はないの?』と思ったこと、ありますよね。

結論から言うと、そんな時に使うのがHSLです。HSLは「色相」「彩度」「輝度」の3つのつまみで、選んだ色だけを補正できる機能なんです。

この記事を読むと、HSLの3つのつまみで何が変わるかと、被写体別の触り方、ソフトでの色補正の手順が分かります。

目次

HSLとは?色相・彩度・輝度の3つのつまみ

先に結論

HSLは、色相(Hue)・彩度(Saturation)・輝度(Luminance)の頭文字です。写真の中の「青だけ」「緑だけ」のように、特定の色を選んで、その色の種類・鮮やかさ・明るさを別々に変えられます。

Lightroom Classicのヘルプでは、3つのつまみがこう説明されています。言葉だけだと分かりにくいので、身近な例と一緒に表にまとめました。

つまみヘルプでの説明ひとことで言うと動かした時の例
色相(H)各色のトーンを調整し、異なる色調に変更するどんな色か青空をシアン寄りやパープル寄りにする
彩度(S)色の鮮やかさまたは純度を調整するどれくらい鮮やかか葉の緑をくすませる、鮮やかにする
輝度(L)色域指定の明るさを調整するどれくらい明るいか空の青だけを暗く深くする

写真全体の「彩度」とは何が違う?

基本補正にも「彩度」がありますよね。こちらは画像全体の色の彩度を均一に補正する項目で、すべての色がまとめて変わります。

「全体の彩度を上げたら、服まで派手になっちゃった」ということ、よくありますよね。一方、HSLの彩度は、選んだ色だけが変わります。例えば「空の青は深くしたいけれど、人の服の赤はそのままにしたい」という時は、HSLの方が向いているんです。

HSLの彩度
  • 青だけ、緑だけと、色ごとに変えられる
  • 他の色に影響しにくい
  • 色相や輝度とも組み合わせられる
全体の彩度
  • 一度に写真全体の色が変わる
  • 細かい色の調整には向かない
  • 手早く全体の印象を変える時は便利

3つのつまみの触り方を、被写体別に見る

ここでの結論

色を整える時は、「色がずれている」なら色相、「派手・地味」なら彩度、「明るい・暗い」なら輝度と、悩みでつまみを選びます。被写体ごとによく使うつまみも決まってきます。

『3つあると、どれを動かせばいいか分からない…』という方も多いはずです。実は、悩みの言葉を3つに当てはめると、迷わずに選べるんです。

悩みの言葉動かすつまみ
色がずれている、黄色っぽい、紫っぽい色相
派手すぎる、くすんでいる、地味彩度
明るすぎて浮く、暗くて重い輝度

この考え方で、被写体別の触り方をまとめてみました。どれも「少しずつ動かして、写真を見ながら止める」が基本です。

被写体よくある悩み主に触るつまみ気をつけること
青空薄い、白っぽい青の輝度を少し下げ、彩度を少し上げる空のグラデーションに段差が出ないか
木の葉・芝生黄色っぽい、派手すぎる緑と黄色の色相・彩度葉の色がばらばらにならないか
桜など淡い花白っぽい、色が出ない花の色の彩度・輝度蛍光色のように浮かないか
夕焼け赤すぎる、オレンジが濁るオレンジと赤の彩度・輝度雲の形が消えていないか
料理野菜の色がくすむ野菜の色の彩度器や背景の色まで変わらないか
人物が写った写真背景の色を整えたい背景の色だけを動かす肌の色に影響していないか
HSLの色相・彩度・輝度の3つのつまみを、色がずれている、派手か地味か、明るいか暗いかの悩みと結びつけて整理した図解

肌の色は、HSLで大きく動かさない

人が写った写真で、オレンジや赤を大きく動かすと、肌の色まで変わってしまいます。Lightroom Classicのヘルプにも、赤の彩度を下げると写真全体の同様の赤色に影響する、と書かれています。

背景の色を整えたい時は、肌の色に影響していないかを見ながら、少しずつ動かしましょう。人物の写真の整え方は人物写真のレタッチで紹介しています。

HSLで特定の色だけを補正する手順

ここでの結論

HSLでの色補正は、全体の明るさと色の偏りを直した後に行います。土台が整ってから色ごとに調整すると、少ない動きで済みます。

HSLは、写真の仕上げに近い段階で使う機能です。先に全体を整えておかないと、色ごとに動かしても思ったように効かないんです。

HSLで色を整える流れ
  1. 露光量やコントラストで、全体の明るさを整える
  2. ホワイトバランスで、写真全体の色の偏りを直す
  3. HSLを開き、整えたい色を決める
  4. 色相・彩度・輝度のうち、悩みに合うつまみを少し動かす
  5. 動かしたつまみを戻したり進めたりして、止めどころを探す
  6. 元の写真と見比べて、他の色に影響していないか確かめる
HSLで色を整える流れを、全体の明るさ、色の偏り、整えたい色を決める、つまみを少し動かす、元の写真と見比べるの順番で示した図解

明るさの整え方はトーンカーブの使い方、色の偏りの直し方はホワイトバランスと色かぶりの直し方で紹介しています。

Lightroom Classicでは「カラーミキサー」

Lightroom Classicのヘルプでは、「編集/カラーミキサー/ミキサー」で、調整のドロップダウンから「HSL」を選ぶ流れが紹介されています。HSLを選ぶと、色ごとのスライダーで色相・彩度・輝度を動かせます。

どの色を動かせばいいか分からない時は、「ポイントカラー」が便利です。スポイトで写真の色を選び、その色の色相・彩度・輝度をずらせるんです。

Photoshopでは「色相・彩度」の調整レイヤー

Photoshopでは、「色相・彩度」の調整レイヤーを使います。調整レイヤーは、画素の値を変えずに色や明るさを補正する仕組みなので、あとから何度でもやり直せます。

調整レイヤーについているレイヤーマスクを使えば、写真の一部の場所だけに効果を出すこともできます。「空の青だけ、しかも上の方だけ」のように、色と場所の両方で絞れるんですよ。

ほかのソフトにも同じような機能がある

HSLという名前でなくても、特定の色だけを整える機能は多くのソフトにあります。名前はソフトごとに違うので、公式ヘルプで確かめてみてください。

ソフト特定の色を整える機能の名前(公式の表記)
Lightroom Classicカラーミキサー(HSL)・ポイントカラー
Photoshop色相・彩度・特定色域の選択(調整レイヤー)
CLIP STUDIO PAINT色相・彩度・明度(色調補正)
Canva色の編集(色相・彩度・明るさ)
Canon Digital Photo Professional 4特定色域の調整機能
Nikon NX StudioLCHエディター

HSLで失敗しやすいところ

ここでの結論

HSLは効果がはっきり出るぶん、動かしすぎると色の境目に段差が出たり、他の物の色まで変わったりします。少しずつ動かして、等倍表示と縮小表示の両方で確かめましょう。

HSLは便利ですが、よくある失敗もいくつかあります。動かした後に、次の項目を見てみてください。

HSLで色を動かした後のチェック
  • 空のグラデーションに、帯のような段差が出ていないか
  • 整えたい物以外(服・肌・建物)の色が変わっていないか
  • 色の境目に、濁った色や不自然な縁が出ていないか
  • 鮮やかにした色が、蛍光色のように浮いていないか
  • 元の写真と並べて、写真の雰囲気が変わりすぎていないか
よくある失敗

彩度を上げるのと同時に輝度を大きく下げると、色が濃くなりすぎて、べたっとした塗り絵のような見た目になります。迷ったら、動かした量を半分くらいに戻してみると、自然な所が見つかりやすいです。

JPEGで大きく動かすと、色が崩れやすい

JPEGの写真は、RAWに比べて色の階調が少ないため、大きく色を動かすと段差が出やすくなります。ニコンの解説では、JPEGは8ビット、RAWは12ビットか14ビットと説明されています。

大きく色を変えたい写真は、RAWで撮っておくと安心です。RAWとJPEGの違いはRAW現像とレタッチで紹介しています。

よくある相談:HSLと色補正

Yahoo!知恵袋にも、HSLや色補正についての相談が寄せられています。閲覧の多い相談から3つ選んで、要点をまとめて答えますね。

相談1:Lightroomでパートカラー(1色だけ残す写真)を作りたい

LightroomのHSLを使って、1つの色だけを残し、ほかを白黒にする「パートカラー」を作る方法を知りたい、という相談です。

HSLの彩度で、残したい色以外のすべての色の彩度を一番低くすると、その色だけが残ったパートカラーになります。例えば赤い傘だけ残したいなら、赤とオレンジ以外の彩度を下げてみてください。

残したい色が他の場所にも少しあると、そこも色が残ってしまいます。その時は、マスクで範囲を絞る方法と組み合わせると、きれいに仕上がりますよ。

相談2:動画で、植物の緑だけを強くしたい

動画編集ソフトで、植物の緑の色合いだけを強めたい、という相談です。

動画にも、特定の色だけを整える機能があります。例えばAdobeの動画編集ソフトには、Lumetri カラーのパネルに「HSL Secondary」があります。ヘルプでは、単一の色を分離して補正できると紹介されています。

写真のHSLと同じく、緑を選んで彩度を少し上げれば、植物の色を強められます。動画の色の整え方は動画のレタッチで紹介しています。

相談3:見かけた写真のような色の加工は、Lightroomでできる?

写真投稿サイトなどで見かけた、色合いの印象的な写真のような加工が、Lightroomでできるのか知りたいという相談です。

多くの場合、全体の明るさ、ホワイトバランス、HSLの組み合わせで近づけられます。「この写真みたいにしたい」「どこの色が違う?」と、自分に問いかけてみるのが第一歩です。まずは、その写真の空・肌・緑などの色が「元の色からどうずれているか」を言葉にしてみてください。

「緑が黄色寄りで少しくすんでいる」と言葉にできれば、緑の色相と彩度を動かせばいい、と分かりますよね。ただ、撮った時の光や場所が違うと、同じ設定でもまったく同じにはなりません。

色の扱いを体系的に学びたいと思ったら

HSLが使えるようになると、『色の組み合わせやデザインの考え方も学びたい』と感じることもありますよね。公式のチュートリアルや本、動画で独学するのも、十分に力がつく方法です。

誰かに教わりながらPhotoshopやデザインを学びたい時もありますよね。オンラインスクールの無料体験レッスンで、学び方が自分に合うかを確かめてみるのも1つの方法です。

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よくある質問

HSLの色補正は、どのタイミングで使えばいいですか?

全体の明るさと、ホワイトバランスでの色の偏りを直した後に使います。土台が整ってから色ごとに調整すると、少ない動きで済みます。

HSLとホワイトバランスは、何が違いますか?

ホワイトバランスは写真全体の色の偏りを直す機能で、HSLは特定の色だけを整える機能です。全体が青っぽい時はホワイトバランス、空の青だけを変えたい時はHSLを使います。

スマホのアプリでもHSLは使えますか?

アプリによります。HSLという名前でなくても、色ごとに調整できる機能があることがあるので、使っているアプリの公式ヘルプで確かめてみてください。

HSLで色を変えると、ざらついた感じになります。

色を大きく動かすと、階調の少ない写真では段差やざらつきが出やすくなります。動かす量を減らすか、RAWで撮った写真で試してみてください。

まとめ

この記事の要点
  • HSLは、色相・彩度・輝度の3つのつまみで特定の色だけを補正する機能
  • 色がずれているなら色相、派手か地味かなら彩度、明るさなら輝度を動かす
  • 全体の明るさと色の偏りを直してから、HSLで色ごとに整える
  • 赤やオレンジを大きく動かすと、肌など同じような色にも効く
  • 少しずつ動かし、元の写真と見比べて止めどころを探す

レタッチという作業の全体像は、レタッチとはで紹介しています。HSLを使った具体例は、桜の写真のレタッチや風景写真のレタッチも参考にしてみてください。

レタッチガイド

レタッチガイド 編集部

写真のレタッチ(明るさ・色の補正、肌や不要物の修正、RAW現像)のやり方と、Photoshop・Lightroomなどのソフトの選び方、レタッチの学び方を、初めての人にも分かるように整理している情報サイトです。 公式サイト

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